『イン・ザ・メガチャーチ』
朝井リョウ / 日経BP 日本経済新聞出版 / ISBN 9784296121045
読者ulzaの推しコメ
気がついたら集中して読んでて、最後にはかなり感情移入してた。内容は私があまり読んでこなかったタイプの話だったけど、推しがいる人間としても読書好きとしても、読んでよかったと思えた作品。
朝井リョウ / 日経BP 日本経済新聞出版 / ISBN 9784296121045
読者ulzaの推しコメ
気がついたら集中して読んでて、最後にはかなり感情移入してた。内容は私があまり読んでこなかったタイプの話だったけど、推しがいる人間としても読書好きとしても、読んでよかったと思えた作品。
川上 稔 / さとやす(TENKY) / KADOKAWA / ISBN 9784048672184
邦越ありすの推しコメ
00年代のライトノベルであり、ボーイミーツガールのセカイ系。端的に言うならそういう本だが、本作は私にとって中学高校の多感な時期に、ドストレートで食らった内の1冊である。 川上稔氏の描く共通した世界観の連作中の1シリーズだが、この境界線上のホライゾンだけでも本編で29巻もある。番外編は3巻だ。その上、一冊一冊が500ページ超えのレンガである。本の虫であった中学生の時分に、その威容をライトノベルの棚で見た時の衝撃は相当な物であった。2秒で手に取って会計に並んだ。 尚、内容はファンタジー・SF・歴史などの要素が複雑に絡む為、ジャンルを指定するのは極めて難しいが…一本通った筋が「好きな女の為に世界なんとかする」なので、そういうのが好きでライトノベルの軽妙な会話劇と押し寄せる情報量を楽しめる人には是非ともおすすめしたい。 ちなみに私は Ⅰ〈下〉で爆泣きして以降、敬虔な信者になっている。
fudaraku / KADOKAWA / ISBN 9784049155228
邦越ありすの推しコメ
ずんだ文芸部さんの推しコメから、積読に積んでいた本を引っ張り出して読了。 読後に来た最も強い感想が「電撃文庫から…?これが…?」。近年の傾向からは大きく外れているものの、そういえばこのレーベルは革新なのだったと思い出された。 内容に関してはずんだ文芸部さんの推しコメに詳しくある為、これ以上は申しません。 ただ、間違いなく価値ある読書体験をくれる一冊。
井上 真偽 / 幻冬舎 / ISBN 9784344041271
ずんだ文芸部の推しコメ
邦越ありすさんの推しコメントを拝見して、読了したのですが本当に面白かった。 私は読み進めるのにかなり時間がかかる方なのですが、本作は集中しきって一瞬で読み終えてしまった。こういう読書体験は久しぶりです。 「見えない、聞こえない、話せない」という三つの障害を抱えた女性を、ドローンによって地下施設から救助する。というワンシチュエーションで最初から最後まで突き進むので、本当にテンポがよくて、ページをめくる手が止まらない。 困難に直面するたびにあの手この手で状況を打開する主人公の姿に勇気づけられる人も多いはず。 それから、家族ものに弱い私は物語終盤のとある描写で号泣しちゃった… ミステリーというよりは災害ものという印象ですが、とにかく読んで損はない一冊だと思います!
小野 不由美 / 新潮社 / ISBN 9784101240527
あくもの推しコメ
書店で新刊が平積みされているのを見て、喜びのあまり泣いたことがありますか? それが私にとっての十二国記です。 どんなに絶望的な状況でも、決して下を向かず、己の信念や大切なもののために進み続ける。譲れない何かのために命を賭ける。その強さに憧れ、励まされ、叱咤され、十二国記から教わったことが私の人生の一部になりました。 主人公の女子高生・陽子が、ある日突然 中華文化を思わせる異世界へ飛ばされるシーンから物語が始まります。荒んだ国を彷徨いながら、原因となった『けいき』と呼ばれる人物を探し元の世界に戻ろうとする彼女を中心に展開するのがこのシリーズ第一章です。陽子が遭遇する出来事、それによる変化、そして最後の決断まで、はらはらして目が離せません。中学生だった私は授業中に机の下で読みふけっていました。 以下シリーズごとに主人公を変えながら、十二の国を持つこの世界の有り様が紡がれていきます。登場人物たちの個性や関係性にも惹かれますし、「もはやジャンルを『歴史』にしてもいいのでは」と思うほどの、大河ドラマのような迫力も大きな魅力です。十二国記を語る上では外せません!登場人物たちの生き様や国の行く末がとてもダイナミックに描かれ、ページを捲る手が止まらなくなります。更に神話の世界のようなファンタジーのエッセンスもあり、世界観の壮大さはもう唯一無二です。 もともとティーンズ向けのレーベルから出版されていたのですが、そうとは思えぬ重厚さ。最新シリーズ(短編を除く)の『白銀の墟 玄の月』ではあまりの苛酷さに、何度も先が読めなくなるほど嗚咽しながら追いかけました。 間違いなく思春期の私を守ってくれた物語のひとつですが、大人が読むと機微が理解できて更に面白いはず…!まだ読んだことがない方にも、ぜひ体験してほしいです。 難しい漢字がばんばん出てきますが、慣れます!(読めなくても記号みたいな感じで認識できるようになります!)
マーガレット・マーヒ / 幾島幸子 / 岩波書店 / ISBN 9784001155594
不立文字文文の推しコメ
個人的に復刊してほしい本No.1。 図書館の児童書コーナーにはまだあるかも? 「主人公の通う学校の教師が、図書室の本に使うための予算を、最新式コーヒーメーカーに使ってしまい、それを解決するために生徒に本を書かせる」という、いくらなんでも昔とか現代とか関係なく教育委員会が動く案件だろって冒頭から始まる物語。 学校の帰り道、悪者の物語を書こう!と思いついた主人公の目の前にあやしいやつが現われ、そいつを主人公にした物語を2人で書きはじめると、主人公の妹やいじめっ子も加わって、話はとんでもない方向へ進んでいく……というあらすじ。 とにかく物語を書くことの楽しさが伝わってくる、ダークな表紙からは想像もつかない明るい世界観の本だが、ラストがほんのちょっとだけ不穏で、続きが気になるけど一冊で完結してるのがまたいい味が出てる。 自分が作家を目指すきっかけにもなった本でもある。 機会があれば絶対に読んでほしい一冊だ。 この作者の別作品は結構有名なのに、この作品はあまり話題に挙げられてないのが非常に残念(ー自分が調べた時はあまり情報がなかった。
葦原大介 / 集英社 / ISBN 9784088708096
あくもの推しコメ
この漫画をオススメしようとすると、大半のオタクが何をピックアップして伝えるか迷った挙げ句「とりあえず10巻まで読んでみてくれる…?」となります。それくらいいろんな良さがあって、何度読み返してものめり込んでしまう作品です。なので皆さんも騙されたと思って一旦10巻まで読んでください。このサイトの方、たぶん好きな人多いと思います。 よく魅力として挙がるのは集団戦の描写が上手いところ、持たざる者(主人公)が知恵と工夫を駆使するところ、キャラクターの多彩さ、彼らの性格や関係性の開示のうまさ、などなど…。 私がいちばん好きなのは、設定と設計が緻密で、驚きや感激だけがあり無理がないところ。後から出てきた事実が『後付け』『後出し』ではなく「あのときのあれが…!」「ってことは、これってこういう理由だったの?!」と繋がっていくので『遅効性SF』というキャッチコピーが付いています。ちなみにこのキャッチコピーは読者公募です。そういう読者がついている作品です。 漫画の内容から分析好きなファンが多い印象ですが、実は細かい設定が頭に入っていなくても面白いです。分析好きなファンの分析を見るのも面白いです。ちらっと描かれた情報だけで1チームの人数を割り出したり、まだ明かされていない実力者の存在を暴き出したりするファンがいます。そういう読者がついている作品です。
井上 真偽 / 幻冬舎 / ISBN 9784344041271
邦越ありすの推しコメ
今年に入ってからの天災の多さに、もう一度読もうと思わされた本。 個人的にミステリーというより、災害を題材としたパニック小説として読んだ。発災時の障害者への支援について考えさせられる。 読み心地はテンポ良く、あっという間に300ページが過ぎ去っていく。感覚としては2時間の映画が近い。 また、「今何か困難に直面している人」の背中を押せる本でもあると思う。
牧野 修 / 早川書房 / ISBN 9784150311988
邦越ありすの推しコメ
鬼才・牧野修によるパラレルワールド冒険譚。著者の得意とするホラーで培われた、秀逸な描写力による視覚表現は流石の一言。 独特の文体と荒唐無稽な世界設定のため、人を選ぶ作品ではある。しかし是非とも、「言語」と「パラレルワールド」に翻弄される感覚を味わってほしい。
西村 京太郎 / 河出書房新社 / ISBN 9784309417561
智礼の推しコメ
西村京太郎氏が犯罪思考を持っていなくて良かった。驚異的な犯罪だがこの物語を読んでいると実現可能に思えてしまう 1977年発行であるが全く古さを感じない 後半の犯人逮捕に至る切迫感にとても惹き込まれる
ヴェルヌ / 鈴木雅生 / 光文社 / ISBN 9784334103743
ぽるなの推しコメ
元祖ジュヴナイル・サバイバル・スペクタクル巨編。と言って過言では無いであろう、文字通り少年たちによる冒険譚である。読書を楽しいと思えたきっかけの作品であり、こうして新訳が出ると思わず手に取ってしまう。生き抜くための力を貰える、そんな本。
松岡 和子 / 筑摩書房 / ISBN 9784480438072
ぽるなの推しコメ
松岡訳シェイクスピアを追いかけて、ついに全訳完結したあとに纏められたエッセイです。ブックガイド的に読んでから気になる作品をチェックしてもよし。どうですかシェイクスピア?
東郷隆 / 講談社 / ISBN 9784062769006
郵便配達夫は2度出るおならすの推しコメ
インドのアンサツ教団と現地を支配するイギリス勢力との攻防が見ものですね。イギリス側の統治に資するためのデマとしてでっち上げられた架空の宗教団体説もあるようですが、理屈抜きで楽しめると思います。
佐藤 賢一 / 文藝春秋 / ISBN 9784167922627
郵便配達夫は2度出るおならすの推しコメ
おそらく誰でも聞いたことがある「星の王子さま」の著者。文学者である以前にれっきとした飛行機乗り。世界大戦で祖国の危機に対し、渡米し反戦活動する。個人的思想やプライベートな問題が、「星の王子さま」の設定や物語に微妙にリンクするのが興味深い。
いしい しんじ / 新潮社 / ISBN 9784101069227
あくもの推しコメ
人生でいちばん好きな小説は、と言われたら、迷わずこれ。ティンパニ奏者のおじいちゃん・数学者のお父さんと暮らす少年「ねこ」の、音楽に彩られた日々の物語です。 優しい雰囲気の小説なんですが、いしいしんじという人は、このほんわかした字面の名前に反して本当に容赦がないんです。今作でも「読んでいるこちらのほうが立ち直れない…」と思わされる瞬間がしばしばあります。 でも「ねこ」をはじめ個性的な登場人物たちは、それらを自分の一部として受け入れてゆきます。 良いことも悪いことも等しく残るから、それらはやがて響き合い、最後には美しいハーモニーとなる。最後まで読むと、「人生がこうであったらどんなに素晴らしいだろう」と素直に思える小説です。 ここからは余談ですが、自分がずっと打楽器をやっていることもあって、この小説には何度も励まされてきました。 「音楽って楽しいよな」とか「音楽に支えてもらってきたな」とかいうことを思い出させてくれるシーンがいくつもあります。 出会ってから今までずっと、お守りのような存在です。
馬 伯庸 / 池田 智恵 / 立原 透耶 / 文藝春秋 / ISBN 9784163920887
郵便配達夫は2度出るおならすの推しコメ
下っ端官僚、いわゆる社畜の主人公が一見楽勝に思えるライチ輸送を請け負うが、実は無理難題を押し付けられただけだった。次から次と押し寄せるトラブルに主人公はどう対応するかが見ものですね。
湊 かなえ / KADOKAWA / ISBN 9784041157596
都会爆発の推しコメ
自分が思う美しいものを、他の人に伝えたい。そんな思いを持ったことは、誰にだってあると思う。 「もしもこれをあの人に見せられたなら、どれだけ良かっただろう。」と、「私にはこんなに美しいものが見えているよ。」と。 それを伝えたい気持ち。 人間標本は、そういった思いを持った人達が起こす物語だ。
井村君江 / 講談社 / ISBN 9784061494190
ふぺふぺの推しコメ
妖精の基本の基を理解するにはこの本が一番だと思います。 まずは妖精がどこから来たのか、そして妖精とはどのような生き物なのか、どこに住んでいるのか、人間とどのように絡んできたのか、等
朝井リョウ / 日経BP 日本経済新聞出版 / ISBN 9784296121045
ずんだ文芸部の推しコメ
2026年本屋大賞も受賞した朝井リョウさんの最新作。 本作は「推し活」をテーマとしている作品であることから、「現代社会に渦巻く推し活の功罪」という文脈でいろいろ語られることが多いのですが、個人的にはその域にとどまらない、この世の真理めいたものまで描かれている作品だと感じた。 詳細はネタバレになるので避けますが、私はこの小説を読んだことで、どこか自分の人生を俯瞰するようになり、身の回りに溢れている"物語"の存在を意識してしまうようになりました。 読む前の自分には戻れない、というやつです。 読んでて楽しいエンタメという作風ではないものの、世界の見え方が変わる(と個人的に思っている)読書体験は他では味わえない。 今のところ2026年のベスト小説です。
アンドレ・ピエ-ル・ド・マンディアルグ / 生田耕作 / 白水社 / ISBN 9784560045299
太秦 太の推しコメ
表題作「燠火」を始めとした、性愛渦巻く幻想小説集。本書中最もオススメの作品は「幼児性」、進行中の性行為と追憶が混然一体となった非常に特異な文体は、読者の時間・空間感覚の狂いを完璧にデザインし尽くした出色の出来。
平野 啓一郎 / 文藝春秋 / ISBN 9784167912901
のえるの推しコメ
映画化もされていますが、圧倒的に小説がおすすめの作品。 恋愛小説を読みたいけど、いわゆる青春時代の甘酸っぱいものは…という方に向けた大人の恋愛小説です。 ドキドキするというよりも、体の奥底から深く人を想う気持ちを感じられる、それでいて重すぎず、仕事や日々の悩み、誰もが持っているような葛藤に小さく相槌を打ってくれるような優しい読後感。 読み終わってすぐにページを戻し、登場人物の言葉の端々にもう一度何かを感じようとした記憶があります。
森 博嗣 / 講談社 / ISBN 9784062639248
のえるの推しコメ
もしもあなたがミステリー好きで、まだこの本を読んでいないのだとしたらそれはとても幸運な事であり、羨ましくも思います。 名古屋大学の工学部教授として勤務しながら書かれた故なのか、切り口等斬新に感じるものが多く、本格的でありながら、ミステリーに明るくない読者も夢中になれるかと思います。 ミステリーが大好きな方も、これからミステリーを読んでみようかなと興味を持っている方も双方おすすめの作品です。
和田 竜 / 新潮社 / ISBN 9784101349787
のえるの推しコメ
最初は漢字が多かったり、読みが難しかったり、歴史小説に慣れていないと読み進めるのが大変かもしれませんが、一巻が終わる頃にはこの世界に引き込まれていると思います。 たくさんの小説を読んでいますが、読み進めたのちに体が熱くなるものは多くなかったと思います。
fudaraku / KADOKAWA / ISBN 9784049155228
ずんだ文芸部の推しコメ
おかとときと呼ばれる謎の怪異をもてなす仕事を父親から引き継いだ少女が主人公の物語。 ライトノベルとは思えない、耽美で重厚な筆致が読み始めた当初の印象でした。 もちろん、この段階でも特異な世界観を十分に楽しんでいたのですが、帯文にある意味深な文言「物語は、三度、進化する」 「いったい何が起きるんだ?」と思っていたら、途中ですんごいどんでん返しが…… どんでん返しの程度にもいろいろありますが、本作のどんでん返しはそれはもう想定外も想定外。 そして、私が本作を推したい最大の理由は「どんでん返しの後」の部分。 大抵のどんでん返しものは「どんでん返しすげぇ!」が最大の売りになるかと思いますが、本作は「どんでん返しすげぇ」の向こう側にある物語が本当に刺さった。 どんでん返しもので泣いたのは初めてだと思います。 ただの一発勝負ではない。どんでん返しの向こう側を感じてほしいのでぜひとも読んでほしい一冊です!
杉井 光 / 新潮社 / ISBN 9784101802626
ずんだ文芸部の推しコメ
いろいろミステリーを読んできた中で私が一番驚いたと断言できるミステリー小説です! 何に驚いたか、を説明してしまうと即ネタバレになってしまうので避けますが、本当にすごい。 電車に乗っているときに読んでいたのですが、あまりに衝撃的で最寄り駅に到着しても、ベンチに座ってしばらく読み続けてしまったレベル。 と、こう言うとSNS特有の過剰表現のように聞こえてしまうと思いますが、本作に関しては「ガチ」なのでぜひ一度読んでみてほしい… 特に、様々な小説、特にミステリーを読んできた人ほど驚くタイプだと思っています。
ジェイムズ・P・ホーガン / 池 央耿 / 東京創元社 / ISBN 9784488663315
ずんだ文芸部の推しコメ
私の一番好きな小説であり、読書に本格的にハマるきっかけとなった一冊です! 宇宙服を着た人間の死体が月面から発見され、しかもそれが5万年前のものだった!という気になりすぎるあらすじ。 いわゆるハードSFと呼ばれるジャンルでありつつ、謎の死体の正体を解き明かすという点ではミステリーとしての側面も大きいと思います。 何より刺さったのがその調査過程! 世界中から各分野の科学者たちを総動員して、小さな発見を積み重ねて真相に近づいていく。 読了当時は大学生で、研究室にて日夜、研究活動に励んでいた私としては「調査過程が科学の営みすぎる…!」と衝撃を受けました。 科学と言えば天才的なひらめきで一気に進展するイメージがありますが、実態は名もなき研究者たちの地道な積み重ねによるところが大きいんですよね。 この小説はそんな科学という営みのロマンや楽しさが存分に詰まった一冊だと思っています。 そして、ラストにはとんでもない真相にもたどり着いたり… 物語の序盤は大きな進展が少ないのもあって、少し読みにくいかもしれないですが、中盤以降は本当にページをめくる手が止まらなくなるので激推しです!
パク・ミンギュ / 斎藤 真理子 / 白水社 / ISBN 9784560072585
よだかの推しコメ
韓国文学にハマった時期がある。 というか、ずっとハマっている。 そのきっかけとなった本がパク・ミンギュの「ピンポン」だ。 日本で韓国文学が流行って久しいけれど、 私は「ピンポン」を超える面白い作品に、いまだ出会っていない。 これが韓国文学なのか!!! という横っ面を殴られたような衝撃ではじまり、 ……これが韓国文学、なの、か? という戸惑いと驚愕で終わる。 何を言ってるかわからないと思うけれど、実際にそういう本なのだ。 信じられないなら、本屋に行って、最初の1ページだけでも読んでみてほしい。 ついでに227ページも開いてみてほしい。 「ピンポン」は、わけのわからない展開のわりに、あらすじを説明するのはたやすい。 卓球を通じて陰キャ少年たちが仲良くなる話だ。二人には、人類をアンインストールする権利が与えられる。 何の力もなかった少年たちが、突然世界の命運を握る。ほとんどセカイ系と言ってもいい。 ただし、「ピンポン」は私の知る限り、どんな型にもハマらない作品である。 孤独に震えながらダンスミュージックを踊るような、相反するハチャメチャな感情のぶつかり合い。宇宙から人間の営みを見たら、こんな感じなのかもしれない。 宇宙といえば、作中に「ハレー彗星を待ち望む人々の会」という組織が登場する。 その名の通り、ハレー彗星によって地球が滅ぼされる日を待ち望む人々の集まりだ。 世界から取り残されてしまった彼らの姿は、どこか滑稽で愛らしい。それに、なんだか懐かしい。 私にも、ただぼーっと空を見上げながら「終わらないかなあ、世界」とか呟きたくなる時もある。 中学生なら許されるが、大人がやると痛々しい。 けれど、そんな痛々しい大人になった人にこそ、強くオススメしたい一冊なのだ。
アンナ・カヴァン / 山田 和子 / 筑摩書房 / ISBN 9784480432506
よだかの推しコメ
「一番好き」「オールタイムベスト」という言葉に直面すると、思わず一歩後ろに退いてしまいそうになる。 数えきれないほど本を読んだとは言えないけれど、順位をつけることをためらうほどには、思い入れのある本が多い。 そんな中でも、「これは必ず入る!」という一冊がある。 アンナ・カヴァンの『氷』だ。 もともと日本文学ばかり読んでいた私が海外小説しか読まなくなったのは、ぜんぶこの本のせいである。 カヴァンに出会っていなかったら、私はいまも海外小説のことを、どこか遠い国のおとぎ話のようにしか感じなかったかもしれない。 それほどまでにこの物語は個人的で、内面的に描かれている。 人生のどこかで負った古傷を、鋭い刃物でぶっ刺してくるような荒々しさ。それでいて虚無に近しい、無感情な冷たさがある。あまりに寄るべがなくて、存在しない痛みで苦しくなってしまうほどに。 カヴァンの本が刊行されたとき、大好きな作家である皆川博子さんがこんな推しコメを寄せていて、それが今でもずっと心に残っている。 「カヴァンを『読む』ことを必要とする」読者は必ずいます、と。 この「必要」という言葉がとても好きで、カヴァンという作家を説明するのにこれほど適した言葉はないように思う。 ある人にとって薬のような効能をもたらし、ある人に毒をのむような苦しみを与える作家。 あなたにとってこの本は、毒にも薬にもならないかもしれない。けれど、きっとどこかの誰かにとっては「必要」とする本になるはずだ。
夏目漱石 / 新潮社 / ISBN 9784101010137
はる@デモ読者の推しコメ
人との距離や、うまく言葉にできない気持ちが、昔の物語なのにすぐ隣にあるように感じました。急いで結論を出さず、一文ずつ立ち止まりながら読みたくなる本です。古典は難しそうと思っている人にも、まずは静かな語りに耳を傾けてみてほしいです。
村田沙耶香 / 文藝春秋 / ISBN 9784167911300
はる@デモ読者の推しコメ
自分にとって心地よい暮らしを、誰かに説明するのは難しい。読みながら何度もうなずいて、読み終えてからも身近な『普通』について考えました。短い一冊なのに、いつもの景色が少し違って見えます。周りに合わせることに疲れた日に、そっとすすめたい本です。