『ピンポン』
パク・ミンギュ / 斎藤 真理子 / 白水社 / ISBN 9784560072585
よだかの推しコメ
韓国文学にハマった時期がある。 というか、ずっとハマっている。 そのきっかけとなった本がパク・ミンギュの「ピンポン」だ。 日本で韓国文学が流行って久しいけれど、 私は「ピンポン」を超える面白い作品に、いまだ出会っていない。 これが韓国文学なのか!!! という横っ面を殴られたような衝撃ではじまり、 ……これが韓国文学、なの、か? という戸惑いと驚愕で終わる。 何を言ってるかわからないと思うけれど、実際にそういう本なのだ。 信じられないなら、本屋に行って、最初の1ページだけでも読んでみてほしい。 ついでに227ページも開いてみてほしい。 「ピンポン」は、わけのわからない展開のわりに、あらすじを説明するのはたやすい。 卓球を通じて陰キャ少年たちが仲良くなる話だ。二人には、人類をアンインストールする権利が与えられる。 何の力もなかった少年たちが、突然世界の命運を握る。ほとんどセカイ系と言ってもいい。 ただし、「ピンポン」は私の知る限り、どんな型にもハマらない作品である。 孤独に震えながらダンスミュージックを踊るような、相反するハチャメチャな感情のぶつかり合い。宇宙から人間の営みを見たら、こんな感じなのかもしれない。 宇宙といえば、作中に「ハレー彗星を待ち望む人々の会」という組織が登場する。 その名の通り、ハレー彗星によって地球が滅ぼされる日を待ち望む人々の集まりだ。 世界から取り残されてしまった彼らの姿は、どこか滑稽で愛らしい。それに、なんだか懐かしい。 私にも、ただぼーっと空を見上げながら「終わらないかなあ、世界」とか呟きたくなる時もある。 中学生なら許されるが、大人がやると痛々しい。 けれど、そんな痛々しい大人になった人にこそ、強くオススメしたい一冊なのだ。