HONTSUGI

読者のおすすめから、次の一冊へ

誰かの「好き」が、次に読む本のきっかけに。HONTSUGIは、読者のおすすめの言葉「推しコメント」から本と出会い、読み終えた思いを次の読者へつなぐ読書コミュニティです。

セレクション

『星を継ぐもの【新版】』

ジェイムズ・P・ホーガン / 池 央耿 / 東京創元社 / ISBN 9784488663315

ずんだ文芸部の推しコメ

私の一番好きな小説であり、読書に本格的にハマるきっかけとなった一冊です! 宇宙服を着た人間の死体が月面から発見され、しかもそれが5万年前のものだった!という気になりすぎるあらすじ。 いわゆるハードSFと呼ばれるジャンルでありつつ、謎の死体の正体を解き明かすという点ではミステリーとしての側面も大きいと思います。 何より刺さったのがその調査過程! 世界中から各分野の科学者たちを総動員して、小さな発見を積み重ねて真相に近づいていく。 読了当時は大学生で、研究室にて日夜、研究活動に励んでいた私としては「調査過程が科学の営みすぎる…!」と衝撃を受けました。 科学と言えば天才的なひらめきで一気に進展するイメージがありますが、実態は名もなき研究者たちの地道な積み重ねによるところが大きいんですよね。 この小説はそんな科学という営みのロマンや楽しさが存分に詰まった一冊だと思っています。 そして、ラストにはとんでもない真相にもたどり着いたり… 物語の序盤は大きな進展が少ないのもあって、少し読みにくいかもしれないですが、中盤以降は本当にページをめくる手が止まらなくなるので激推しです!

『月世界小説』

牧野 修 / 早川書房 / ISBN 9784150311988

邦越ありすの推しコメ

鬼才・牧野修によるパラレルワールド冒険譚。著者の得意とするホラーで培われた、秀逸な描写力による視覚表現は流石の一言。 独特の文体と荒唐無稽な世界設定のため、人を選ぶ作品ではある。しかし是非とも、「言語」と「パラレルワールド」に翻弄される感覚を味わってほしい。

『麦ふみクーツェ』

いしい しんじ / 新潮社 / ISBN 9784101069227

あくもの推しコメ

人生でいちばん好きな小説は、と言われたら、迷わずこれ。ティンパニ奏者のおじいちゃん・数学者のお父さんと暮らす少年「ねこ」の、音楽に彩られた日々の物語です。 優しい雰囲気の小説なんですが、いしいしんじという人は、このほんわかした字面の名前に反して本当に容赦がないんです。今作でも「読んでいるこちらのほうが立ち直れない…」と思わされる瞬間がしばしばあります。 でも「ねこ」をはじめ個性的な登場人物たちは、それらを自分の一部として受け入れてゆきます。 良いことも悪いことも等しく残るから、それらはやがて響き合い、最後には美しいハーモニーとなる。最後まで読むと、「人生がこうであったらどんなに素晴らしいだろう」と素直に思える小説です。 ここからは余談ですが、自分がずっと打楽器をやっていることもあって、この小説には何度も励まされてきました。 「音楽って楽しいよな」とか「音楽に支えてもらってきたな」とかいうことを思い出させてくれるシーンがいくつもあります。 出会ってから今までずっと、お守りのような存在です。

『竜胆の乙女 わたしの中で永久に光る』

fudaraku / KADOKAWA / ISBN 9784049155228

ずんだ文芸部の推しコメ

おかとときと呼ばれる謎の怪異をもてなす仕事を父親から引き継いだ少女が主人公の物語。 ライトノベルとは思えない、耽美で重厚な筆致が読み始めた当初の印象でした。 もちろん、この段階でも特異な世界観を十分に楽しんでいたのですが、帯文にある意味深な文言「物語は、三度、進化する」 「いったい何が起きるんだ?」と思っていたら、途中ですんごいどんでん返しが…… どんでん返しの程度にもいろいろありますが、本作のどんでん返しはそれはもう想定外も想定外。 そして、私が本作を推したい最大の理由は「どんでん返しの後」の部分。 大抵のどんでん返しものは「どんでん返しすげぇ!」が最大の売りになるかと思いますが、本作は「どんでん返しすげぇ」の向こう側にある物語が本当に刺さった。 どんでん返しもので泣いたのは初めてだと思います。 ただの一発勝負ではない。どんでん返しの向こう側を感じてほしいのでぜひとも読んでほしい一冊です!

『氷』

アンナ・カヴァン / 山田 和子 / 筑摩書房 / ISBN 9784480432506

よだかの推しコメ

「一番好き」「オールタイムベスト」という言葉に直面すると、思わず一歩後ろに退いてしまいそうになる。 数えきれないほど本を読んだとは言えないけれど、順位をつけることをためらうほどには、思い入れのある本が多い。 そんな中でも、「これは必ず入る!」という一冊がある。 アンナ・カヴァンの『氷』だ。 もともと日本文学ばかり読んでいた私が海外小説しか読まなくなったのは、ぜんぶこの本のせいである。 カヴァンに出会っていなかったら、私はいまも海外小説のことを、どこか遠い国のおとぎ話のようにしか感じなかったかもしれない。 それほどまでにこの物語は個人的で、内面的に描かれている。 人生のどこかで負った古傷を、鋭い刃物でぶっ刺してくるような荒々しさ。それでいて虚無に近しい、無感情な冷たさがある。あまりに寄るべがなくて、存在しない痛みで苦しくなってしまうほどに。 カヴァンの本が刊行されたとき、大好きな作家である皆川博子さんがこんな推しコメを寄せていて、それが今でもずっと心に残っている。 「カヴァンを『読む』ことを必要とする」読者は必ずいます、と。 この「必要」という言葉がとても好きで、カヴァンという作家を説明するのにこれほど適した言葉はないように思う。 ある人にとって薬のような効能をもたらし、ある人に毒をのむような苦しみを与える作家。 あなたにとってこの本は、毒にも薬にもならないかもしれない。けれど、きっとどこかの誰かにとっては「必要」とする本になるはずだ。

『ピンポン』

パク・ミンギュ / 斎藤 真理子 / 白水社 / ISBN 9784560072585

よだかの推しコメ

韓国文学にハマった時期がある。 というか、ずっとハマっている。 そのきっかけとなった本がパク・ミンギュの「ピンポン」だ。 日本で韓国文学が流行って久しいけれど、 私は「ピンポン」を超える面白い作品に、いまだ出会っていない。 これが韓国文学なのか!!! という横っ面を殴られたような衝撃ではじまり、 ……これが韓国文学、なの、か? という戸惑いと驚愕で終わる。 何を言ってるかわからないと思うけれど、実際にそういう本なのだ。 信じられないなら、本屋に行って、最初の1ページだけでも読んでみてほしい。 ついでに227ページも開いてみてほしい。 「ピンポン」は、わけのわからない展開のわりに、あらすじを説明するのはたやすい。 卓球を通じて陰キャ少年たちが仲良くなる話だ。二人には、人類をアンインストールする権利が与えられる。 何の力もなかった少年たちが、突然世界の命運を握る。ほとんどセカイ系と言ってもいい。 ただし、「ピンポン」は私の知る限り、どんな型にもハマらない作品である。 孤独に震えながらダンスミュージックを踊るような、相反するハチャメチャな感情のぶつかり合い。宇宙から人間の営みを見たら、こんな感じなのかもしれない。 宇宙といえば、作中に「ハレー彗星を待ち望む人々の会」という組織が登場する。 その名の通り、ハレー彗星によって地球が滅ぼされる日を待ち望む人々の集まりだ。 世界から取り残されてしまった彼らの姿は、どこか滑稽で愛らしい。それに、なんだか懐かしい。 私にも、ただぼーっと空を見上げながら「終わらないかなあ、世界」とか呟きたくなる時もある。 中学生なら許されるが、大人がやると痛々しい。 けれど、そんな痛々しい大人になった人にこそ、強くオススメしたい一冊なのだ。

新しい推しコメの一部

『GENESISシリーズ 境界線上のホライゾンI<上>』

川上 稔 / さとやす(TENKY) / KADOKAWA / ISBN 9784048672184

邦越ありすの推しコメ

00年代のライトノベルであり、ボーイミーツガールのセカイ系。端的に言うならそういう本だが、本作は私にとって中学高校の多感な時期に、ドストレートで食らった内の1冊である。 川上稔氏の描く共通した世界観の連作中の1シリーズだが、この境界線上のホライゾンだけでも本編で29巻もある。番外編は3巻だ。その上、一冊一冊が500ページ超えのレンガである。本の虫であった中学生の時分に、その威容をライトノベルの棚で見た時の衝撃は相当な物であった。2秒で手に取って会計に並んだ。 尚、内容はファンタジー・SF・歴史などの要素が複雑に絡む為、ジャンルを指定するのは極めて難しいが…一本通った筋が「好きな女の為に世界なんとかする」なので、そういうのが好きでライトノベルの軽妙な会話劇と押し寄せる情報量を楽しめる人には是非ともおすすめしたい。 ちなみに私は Ⅰ〈下〉で爆泣きして以降、敬虔な信者になっている。

『竜胆の乙女 わたしの中で永久に光る』

fudaraku / KADOKAWA / ISBN 9784049155228

邦越ありすの推しコメ

ずんだ文芸部さんの推しコメから、積読に積んでいた本を引っ張り出して読了。 読後に来た最も強い感想が「電撃文庫から…?これが…?」。近年の傾向からは大きく外れているものの、そういえばこのレーベルは革新なのだったと思い出された。 内容に関してはずんだ文芸部さんの推しコメに詳しくある為、これ以上は申しません。 ただ、間違いなく価値ある読書体験をくれる一冊。